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現場通訳で大炎上!?「善意」が招いた混乱とメキシコで学んだ仕事の境界線

初の現場通訳、まさかあんな事態になるとは……。

メキシコの製造現場。そこは、常に予期せぬトラブルと隣り合わせの戦場です。

今回は、私が初めて現場通訳を任された際に直面した、苦い、けれど大切な教訓についてお話しします。

ちょっと解説】現場通訳の仕事とは?

単に言葉を置き換えるだけでなく、日本の技術者と現地の作業員の間に入り、ニュアンスや作業の優先順位を「交通整理」する役割です。図面や専門用語、そして何より現場の「空気感」を読み取る力が求められます。

目次

たらい回しで目がぐるぐる!「通訳」を超えた先に

「よかれと思って」が、迷宮の入り口でした。

現場には弊社を含め、3社が同時並行で作業を進めていました。
製造ラインの一部を改造・新設する作業で、最終的には一つのラインとして統合されるため、密な協働が求められる現場でした。

本来、全体の工程管理はお客さんの役目ですが、これが一筋縄ではいきません。
日本からの技術員が到着したとき、すでに終わっているはずの機械の基礎設置すら始まっていない……。
設置を担当するメキシコの外注業者は「どうすればいい?」と我々に聞いてきますが、仕様を決めるのはお客さん。
指示系統が完全にパンクしていました。

ホワイトボードを導入し、朝礼・夕礼を提案して進捗状況の可視化を図りましたが、モノが届かない、業者が来ないといった「メキシコの洗礼」に現場はヒートアップ。
さらに困ったことに、もう一つの請負会社が通訳を雇っておらず、なし崩し的に私が「2社の通訳」を担当することになってしまったのです。

ストレスが限界に達し、自然と声が荒々しくなる日本人作業員と、困惑した表情を浮かべるメキシコ人スタッフ。その板挟みになりながらも、お構いなしに現場へ突っ込んでいく私……。
そんな無謀な姿を見かねて、弊社請負の作業員の方が「大丈夫?きつくない?」とそっと声をかけてくれました。

作業合間の屋台飯

「経験になるし、助け合おう」
その時はそう思っていました。しかし、これが大きな間違いでした。
通訳をするということは、その作業内容にまで責任を負うということ。
万が一の際、責任の所在が曖昧になるリスクに、当時の私は気づいていなかったのです。

会議室で爆発!拙い通訳が招いた「パワハラ騒動」

煮え切らない思いと、言葉の壁。

作業は土日も続き、帰国日が迫る中で開催された緊急会議。
私は「聞き専でいいから」と言われ、わけも分からず出席しました。
しかし、そこにも通訳はおらず、気づけば私は日本人作業員とメキシコ人スタッフに囲まれる形に。

また、肝心の決定権を持つ責任者が最初から出席しておらず、議論は空転。
ようやくその人物が到着した頃には、日本人作業員の方々も怒りを必死に抑えてはいるものの、もはやヒートアップ寸前の状態でした。

初の現場で、初の通訳。日本語への翻訳はできても、感情が高ぶる現場の主張を、的確なスペイン語で伝える余裕が私にはありませんでした。

私の言葉足らずな通訳に、両者の顔が曇り、会議は崩壊しかけていました。
なんとかその場を取り持ちましたが、事態は最悪の方向へ向かいました。
翌日、なんと会議での発言が「ひどく傷つけられた」として、社内のパワハラ事案として報告されてしまったのです。

主張の内容自体は理屈の通ったものでしたが、私の拙い通訳のせいで「激しい雰囲気」だけが強調されて伝わってしまった……。
関係者からは「あなたに無理をさせて申し訳なかった」と謝罪されましたが、自分の力不足が招いた結果に、やり場のない悔しさが残りました。

「なんでもやる精神」は大事だが、線引きも責任の一つ

できないと言う勇気も、プロの仕事でした。

この現場で私が学んだのは、「責任ある仕事の進め方」です。
困っている現場を助けたいという善意は大切ですが、ビジネスにおいて「通訳」を介するということは、そこに移る情報の正確性と、その後の作業結果にまで責任が伴うということです。

  • 自分ができる仕事の範囲を明確にすること
  • 「できないこと」を把握し伝え、切り分けること

全員が「期日内に終わらせよう」と同じゴールを目指しているのに、ボタンの掛け違いでぶつかってしまう……。そんなメキシコの現場の難しさを、身をもって知る機会となりました。


打ち上げにて

しかし不思議なことに、この困難を共に乗り越えたメンバーとは、最終的にとても深い絆で結ばれることができました。多くのミスをカバーし合い、一から現場を教えてもらったこの数週間は、私を一段とタフに成長させてくれた気がします。

冷や汗と悔しさ、そして最後には少しの達成感。
そんな波乱万丈な「現場通訳デビュー戦」は、こうして幕を閉じました。

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