夢に見たあの舞台へ!
メキシコで所属している地元の草野球チーム。
春季リーグを折り返した段階で、チームは見事に3部から2部へと昇格を決めることができました。私個人としても、打率6割を超える好調を維持しており、守備での貢献も含めて上々のシーズン前半戦を送っていました。
すると大変名誉なことに、「オールスターチーム」のメンバーとして声をかけていただき、所属チームの看板を背負って特別な試合に試合に参加することになったのです。
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「オールスターゲーム」の舞台裏


アグアスのスター集団
舞台となったのは、「La Liga de Béisbol del Sur de Aguascalientes(アグアスカリエンテス南部地区ベースボールリーグ)」。このリーグに所属する1部と2部の各チームから、成績優秀な選手が2名ずつ選出されてチームが構成されます。我がチームからは、抜群に守備がうまい23歳のサードの若手と、私の2人が大舞台へと送り出されました。
- 午前の部: ホームランダービー、ベースランニング、キャッチャーの二塁送球、遠投。
- 午後の部:1部リーグ選抜 vs 2部リーグ選抜


選抜チームは1チーム20名という大所帯で、監督やコーチ陣もつく本格的な体制です。「全員必ず試合に出場させるから、準備しとけよ!」と熱い激が飛び、ベンチの士気は一気に高まりました。
そんな監督ですが、今回はお祭りです。 試合が始まると、ベンチ横の簡易屋台でキンキンに冷えたビールを大量に購入。それを選手たちに「さあ飲んで盛り上がろうぜ!」と配り歩き始め、ベンチにはメキシコらしい陽気な空気が広がっていきました。
試合開始


指をくわえて待っていては出番は来ない
試合は2部選抜が先攻、1部選抜が後攻でプレーボールを迎えました。初回、2部選抜は相手のかなり大柄な体格をした左投げのピッチャーから、幸先よく2点を先制します。
普段のリーグ戦はミスが多く1試合4時間もかかるのがザラですが、さすがは精鋭が集まるオールスター戦。誰もミスをすることなく非常にいいリズムで試合が進み、各選手が代わる代わるグラウンドへと送り出されていきました。
ここで、メキシコのスポーツ文化において何よりも重要とされる「アピール精神」のリアルを目の当たりにします。
監督やコーチは、今日初めて見る他チームの選手の使い方が完璧には分かりません。そのため、どうしても選手起用に抜け漏れが生じてしまいます。それを察した現地のメンバーたちは、黙って待つどころか「どこでもいいからタイミングで入れてくれ!」と猛烈にアピールを開始したのです。
それに対して私は、ただ静かに手を挙げて出場の機会を待つ始末。そのまま時間だけが過ぎ、気づけば試合は7回を迎えてしまいました。
救世主おじいちゃんの直訴と、大歓声のライト出場
全く出る様子のない私を見かねて、同じチームのおじいちゃん選手が動いてくれました。なんと監督の元へダイレクトに直訴しに行ってくれたのです。「おい監督、あの日本人を出してやってくれ!」という心強い後押しのおかげで、ついにライトでの途中出場が叶うことになりました。
「日本人が出場するぞ!」と、チームメンバーからは割れんばかりの大応援。期待を背に上がった打席は三振に終わってしまいましたが、ベンチに戻るとみんなが笑顔のハイタッチで温かく迎えてくれました。
そのまま最終回までライトの守備を全うし、試合は8-2 で見事に2部選抜が快勝を収めました!
試合後


今日の敵は明日の友
試合が終わると、勝利チームへのご褒美としてビールが丸々1箱配られ、全員で乾杯。
メキシコ人と野球をすると、決まってこう質問されます。
「お前は Shohei Ohtani(大谷翔平)の友達なのか?」
私も負けじと、こう冗談を返します。
「ああ、彼は俺のおじさんにあたる人物だよ」
交わされるのはくだらない雑談ばかりですが、全力で白熱した試合を戦い抜いたからこそ味わえる、このリラックスした雰囲気は最高に面白いです。メキシコに深く飛び込んで野球を続けていて良かったと、改めて実感した一日になりました。







