いつも笑わされたり、時にギョッとしたり……。
商談や社内会議、現場でのやり取り。
ビジネスシーンでは、難しい理屈よりも「誰もが知っている身近なもの」に例えることが多いですよね。
今回は、私が現場で遭遇した、メキシコ人のセンスが光る独特のユーモアをご紹介します。
「何でもタコス」の法則


最後はタコスに落ち着くんです。
ある商品の見積もりを依頼した時のことです。
届いた見積書を確認すると、依頼とは異なる型番の商品が記載されており、あろうことかそのままシステムに登録されてしまっていました。
事態を収拾すべく、メキシコ人の上司と同僚を集めて会議を開いたのですが、私の説明が拙くなかなか状況を理解してもらえません。「モデル番号Aではなく、仕様の異なるBが登録されていて……」と必死に説明を続けます。
すると、ようやく合点がいった同僚が、上司に向けてこう一言放ちました。
「つまり、タコスを頼んだのにソースが届いちゃったってことでしょ!」
それを聞いた上司は「ああ、そういうことか!」と大きく頷き、瞬時に全てを理解してくれました。
私は正確を期すために数字やアルファベットのモデル名を用いて説明していましたが、彼らにとってはそんな無機質な記号よりも「タコス」に例えた方が、圧倒的にイメージが湧くようです。
タコスは食べるだけでなく、業務を円滑に進めるための「最強の共通言語」でもあったのですね。
使わない「サブスク」は解約しよう


笑いの裏に隠された、現場の切実な声。
いつも訪問しているお客さんのところでの話です。
あるメーカーの商品について、トラブルが続いて困っているという相談を受けました。
メーカーに問い合わせてもなかなか担当者が来てくれず、対応が後手に回っているとのこと。
現場の空気が重くなる中、メキシコ人スタッフが肩をすくめてこう言いました。
「まるで使いもしないサブスクに、毎月無駄金を払い続けてるみたいだな」
その場はドッと笑いに包まれましたが、よく考えてみると非常に鋭い皮肉です。
「コスト(対価)を払っているのに、サービス(対応)というリターンが全くない」という現状を、現代的な「サブスク」という言葉で鮮やかに切り捨てたのです。
裏を返せば、「無駄なものは切り捨て、より良いものへと切り替えるぞ」という強い警告でもあります。
顧客の元へ日常的に足を運び、顔を合わせることの重要性を、この皮肉混じりのジョークから改めて痛感させられました。
メキシコの現場で学んだのは、正確なデータ以上に「相手の心に届くイメージ」を共有する大切さでした。
専門用語を並べるよりも、タコスやサブスクといった日常の言葉に置き換える。
この遊び心こそが、メキシコで仕事を動かす秘訣なのかもしれません。
今日もどこかの現場で、私の説明が「おいしいタコス」として伝わることを願いつつ、精進していきたいと思います。









